何を背負わされているのか──家族経営の中で揺れる役割と義務

そんな問いが、いつからか胸の奥で静かに渦を巻くようになった。

引き継いだ当初、私はただ必死だった。
与えられた仕事をこなすしかなかった。
説明は最低限。
「なぜそうなるのか」なんて誰も教えてくれない。
規則は存在しているようで、実際には風のように形を変え、
経営者の一声でいとも簡単に規則まで塗り替えられていく。

社長の言葉がすべてを決める世界。
昔ながらの価値観に縛られ、色眼鏡で判断し、
時に高圧的な声で社員を動かす。
そんな光景が、日常として当たり前のようにそこにあった。

社長の機嫌と気まぐれな判断に、現場はいつも戸惑っていた。
もちろん、私自身もその渦に振り回されていた。

毎日精神を削られる思いだった。

けれど、時代はもう変わっている。
昔の常識は、今では通用しない。
それでも誰も変わろうとしない。
変化に背を向け、見て見ぬふりをする。

私は知っていた。
このままでは、また責任を押しつけられる未来が待っていることを。
だからこそ、今の時代に必要な義務や仕組みを、
理解を得られないままでも導入せざるを得なかった。

そのたびに、負担は私の肩に積み重なっていく。
理解しようとしない人たち。
知ろうともしない人たち。
協力を促しても、返ってくるのは沈黙だけ。
増えていく業務は放置され、
上の人たちは自分の興味のあることだけに没頭し、
下に目を向けることはない。

そして、ある日。
「好きにしていいよ」
その一言が落とされた。

――責任を、放棄されたのだ。

その瞬間、胸の奥で何かが静かに軋んだ。
役目でも、義務でも、仕事でもない。
ただ、私ひとりに押しつけられた“重さ”だけが残った。

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